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6次化でりんご蜜を開発

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りんご蜜を作った菱沼健一さん

 福島市飯坂町で果樹園を営む菱沼農園代表の菱沼健一さんは、かけるとどんなものでも高級スイーツに変わる「リンゴ蜜」を開発した。
 モモやリンゴ、サクランボなど、菱沼さんの作った果物は日本全国にファンがいる。一度食べた味が忘れられないという多くの顧客がリピーターだ。
 それでも震災直後の売上は半分以下に落ち込んだ。「自宅用としては購入してもらえるが、贈答品が激減した。贈る側も慎重になった結果だろう」と菱沼さん。
 樹木の汚れを高圧洗浄機で徹底的に洗い流す作業を行う一方で、6次化商品の開発が始まった。
 きっかけは、自家製リンゴジュースで、ホットアップルジュースを作ろうとしていた時のこと。あやまって煮詰めてしまったところ、ハチミツのようなとろみのある液状になった。舐めてみると完熟リンゴの芳醇な風味が口に広がった。
 それからリンゴ蜜づくりの試行錯誤が始まった。できあがった蜜の酸味や糖度、色合いにこだわった。自宅で少量試作して成功したとしても、まとめてたくさん加工しようとすると失敗する。鍋の大きさ、一回の加工量、加熱温度や時間、熱のかけ方などを少しずつ替えながら、平成27年3月、ようやく納得できる品質に仕上がった。
 市販のバニラアイスやパンケーキなどにスプーン一杯たらすだけで、リンゴの芳醇な香りと素材の味を引き立てる酸味と甘みが、まるで高級スイーツに生まれ変わらせる。
 販売ルートに分けて「木成り完熟りんご蜜」、「イブの贅沢」と2種ネーミング。今後、インターネットや百貨店などで販売する計画だ。
 「リンゴの品種を変えたり、モモでも商品化しようと考えている」と今後の展開を話す菱沼さんは、復興に向けて立ち向かう多くの農業者に勇気を与えている。